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2025.12.09

【労働基準法の大改正が議論中】40年ぶりの抜本見直しへ。企業がいま備えるべき“働き方アップデート”とは

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現在、労働基準法について約40年ぶりとなる抜本的な見直しに向けた議論が進んでいます。
長時間労働を前提とした働き方から脱却し、多様な働き方と健康確保、労務リスクの軽減を実現することが狙いとされています。

少子高齢化による人材不足、副業・兼業やリモートワークの普及、過労死・メンタルヘルスなどの問題を背景に、2026年以降の大幅な制度改正が現実味を帯びています。
本記事では、現時点で示されている主な論点と、企業が今から備えるべきポイントを簡潔にご紹介します。


 

1. なぜいま、40年ぶりの見直しなのか

今回の見直し議論の背景には、次のような変化があります。

・労働人口の減少による人材不足の深刻化
・副業・兼業、リモートワークなど働き方の多様化
・過労死問題やメンタルヘルス不調の増加
・DXの進展に伴う、労務管理の高度化ニーズ

 

従来の「長時間・画一的な働き方」を前提とした制度では対応しきれなくなっており、労働時間や健康確保のルールを根本から見直す方向で、国の審議が進められています。
なお、現時点では「改正内容が確定した段階」ではなく、「具体的な改正案の検討・調整が進んでいる段階」である点には注意が必要です。


 

2. 改正で焦点となっている主な領域

公表されている論点を整理すると、企業実務に影響が大きそうな領域は次の4つです。

①労働時間の管理方法


・労働時間を客観的な記録に基づいて厳密に把握・管理することがより強く求められる見込みです。
・あいまいな「みなし」や自己申告に依存した管理は、今後いっそうリスクが高まると考えられます。

②残業規制・割増賃金の見直し


・残業時間の上限規制や割増賃金率の在り方について、ルールの厳格化が検討されています。
・中小企業に対する猶予措置の見直しなど、人件費やシフト設計に影響する可能性もあります。

③健康確保措置の強化


・終業から翌日の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の義務化などが、有力な論点の一つとされています。
・長時間連続勤務の制限強化など、「働きすぎ」を防ぐための仕組みづくりが求められています。

④多様な働き方への対応


・副業・兼業に関するルールや、複数企業で働く場合の労働時間管理の見直しが議論されています。
・リモートワークやフリーランス等、多様な働き方を前提とした契約・管理の在り方もテーマとなっています。

※上記内容は、現時点で公表されている資料や解説をもとにした「検討中の主な方向性」であり、最終的な法案・施行内容とは異なる可能性があります。


 

3. 企業がいまから備えておきたいこと

 

法改正は「直前に対応すればよい」という性質のものではなく、業務設計そのものの見直しが必要になる可能性があります。
自社のホームページをご覧の企業担当者様には、次のような準備をおすすめします。

【労働時間の実態把握】
残業時間・深夜労働などを、感覚ではなくデータで“見える化”する

【長時間労働の抑制策の検討】
業務量や人員配置、シフトの組み方を含め、構造的な見直しを進める

【就業規則・勤怠ルールの棚卸し】
みなし残業、在宅勤務、副業規程など、実態と規程にギャップがないか確認する

【勤怠管理のDX化】
客観的な労働時間の記録・管理ができるシステムの導入や運用見直しを検討する

 


 

4. 働き方アップデートのチャンスとして

今回の見直しは、企業にとって負担となる面がある一方で、次のようなプラスの効果も期待できます。

・離職率の低下や採用力の向上
・従業員の健康維持による生産性の向上
・労務トラブルの未然防止と企業ブランド価値の向上

「守りの法対応」にとどまらず、「選ばれる職場づくり」のきっかけとして、早めに情報収集と体制整備を進めていくことが重要です。